「家業」だからこそ
提供できる味わいを大切に

料理とサービスを提供する現場は「家業」の良いところを残し、
店の運営など経営面は「企業」でありたいと思っています。
経営規模が拡大するにつれ、このバランス感覚がより難しくなりますが、
つねに妥協せず、これまでもこれからも、お客様目線の商いを続けていきたいと思っています。

味わいを大切に

昔も今も、商いの原点は「家畜商」

 当家の記録によると、初代が家畜商を興したのは昭和元年ごろとされています。
以来、「蔵の街」で知られる栃木市の山間部で牧場を営み、現在は3ヘクタールの敷地内で約100頭の黒毛和牛(ブランド名「前日光和牛」)を飼育しています。ちなみに「前日光」とは、日光連山を背に栃木市を含む下都賀地域以北のエリアで、その自然環境の良さからかねてより牧畜が盛んでした。
 昭和30年代に入ると、本業の畜産以外に精肉業を手がけるようになり、市内に精肉店を開店。その後、昭和40年代に大衆食堂をオープンしました。家畜商が飲食業まで業務を拡大したわけですが、この変遷が現在の「肉のふきあげ」の基礎を築いています。

商いの原点
商いの原点
商いの原点

 二代目の父・弘介に話を聞くと、当時は肉は貴重で、牛でも豚でもヒレやロースは高級品だったそうです。例えば豚肉を加工して店頭に並べても、売れるのは豚バラ肉など安価な部位ばかり。ヒレやロースは一向に売れません(笑)。困り果てた両親は苦肉の策で自前で調理することを思い立ち、とんかつなど揚げ物にして商品化しました。
 家業の歴史を振り返ると、「家畜を育て、精肉として加工し、調理して提供する」といった流れは現在も一貫しています。最近、農畜産物や水産物の「6次産業化」が叫ばれていますが、当社ではすでに30年ほど前から取り組んでいました。

この一連の物語性こそが、企業としての強味だと考えています。
現在の物語の主役は「前日光和牛ステーキ」。当社の6次産業化の目玉です。

経営理念

大衆食堂から
地域一番店
を目指す

 「肉のふきあげ」はあくまでも「食堂」です。もっと言えば「大衆食堂」が原点です。「レストラン」という表現はいささか気恥ずかしく、個人的にはしっくりきません(笑)。
 店舗は、東北自動車道・栃木インターにもほど近い幹線道路沿いの1店舗のみです。従業員はパート・アルバイトを含めて40名ほどいます。
 三代目経営者としては常に、地域一番店を目標に、業界の一歩先を行く経営を目指してきました。「一番店」や「一歩先」の真意は、売上や利益だけに止まりません。さまざまな取り組みにおいて先進的でありたいという意味が込められています。

経営理念
経営理念

 例えば先に触れた6次産業化もしかり。かれこれ30年前から生産・精肉加工・店舗販売の3本柱を確立し、軌道に乗せてきました。株式会社スクラムフーズの社名には、それらの部門が三位一体となり、文字通り「スクラムを組み、前進する」といった思いが込められています。
 また地域一番店になるためには、顧客満足(CS)の前に従業員満足(ES)がなくてはなりません。社員の仕事に対する前向きな姿勢や行動が、結果としてお客様の満足度アップにつながるからです。
 私は日々、社員一人ひとりの表情を観察することを忘れません。「○○○さんは今日も元気かな?」。そんな思いで、社員一人ひとり体の健康と心の健康を推し量っています。

ビジョン

競合店がひしめくエリアで
自分たちの力を試してみたい

 現時点において当社の立ち位置は「家業」と「企業」の中間にあり、例えば従業員用の接客マニュアルなどは存在しません。そのため、特にサービススタッフにおいては、社員それぞれに馴染み客(常連客)が存在し、ケースバイケースで独自のサービスを提供する場面が見受けられます。例えば、お客様の好みに合わせてコースメニューの品ぞろえを変えたり、サービスを提供するなどです。これを「柔軟性」と捉えれば、「家業」ならではの強味といえるかもしれませんが、将来的に「企業」を目指すのであれば、よりトータルな視点で商品・サービスの質を高めていかなければなりません。

ビジョン
ビジョン
ビジョン

 そうした意味では、多店舗化も一つのステップと考えています。未だ多店舗化はしていませんが、ゆくゆくはチャンスを捉えて首都圏にも出店したいと考えています。競合店がひしめくエリアですが、お客様の数も桁違い。そんな激戦区で自分たちの力を試してみたいですね。栃木県内など、近隣市町への出店は考えていません。グループの中に数店舗あれば、「店長になりたい」「料理長になりたい」という社員にとって夢が描けるはず。社員一人ひとりのがんばりに感謝しつつ、各人の目標を実現できるような受け皿を整え、全社員一丸となってお客様サービスに邁進したいと思っています。

今後は、味の追究やサービスの向上はもちろん、自社商品の開発や人材育成の面でも
一歩先を行くような取り組みを体現していきたいと思っています。
願わくは、同業他社が真似しようと思っても追いつけない、高いレベルを目指していきたいですね。